仕上げ実績・ブログ
2011.05.09
クロームメッキ剥離からのカラー塗装
クロームへのカラー塗装など上面へ直塗りは密着が極端に悪いため既存のクロームの完全剥離か、または特別なクローム専用の下処理(粉体パウダー塗装や専用プライマー)をしてからのカラー塗装となります。
クロームを剥離せず直にカラー塗装する場合の下処理(粉体パウダー塗装や専用プライマー)が可能なモノはクロームの腐食やメクレのない事が条件となります。
今回紹介のBBS-RHは後メッキ加工でクローム層が極端に薄過ぎたため至る箇所にのクローム剥げやメクレ、腐食が激しくてさらにエアー漏れを起こすほどの酷いモノでしたのでクローム完全剥離からのカラー塗装となりました。
クロームメッキに良くあるエア-漏れ修理が元々のご依頼で、タイヤビート辺り面のクロームの腐食やメクレが原因でエアー漏れを起こしてしまいます。
デザイン面のディスクサイド部も腐食メクレが進行中です。
これではBBSも台無しです。
インナーリムはもうボロボロ状態です。
クロームは耐久性が悪い上に再クロームや別カラー塗り替えも一番コストがかかり、その上素材を傷めてしまい、クロームするたびに強度も低下する、エアー漏れは起こすなど短期間光っている事以外いい所はありません。
クローム剥離専用工場にてのクローム剥離です。
一般的な塗装品、ハイパー塗装やスパッタリングメッキは下地が塗装ですので自前で完全剥離できますが、クローム層の金属がアルミの上に乗っかっているクロームは電気分解剥離のため専門工場でないと剥離が出来ません。
その電気分解剥離で、アルミ合金の一部が溶け、侵されて表面も見えない内部も素材自体を痛めてしまいます。
本来クロームを前提に造られていないホイールへ強引にクロームかけてそれを剥いで、またクロームをかければ強度がどんどん落ちて「骨粗しょう症」みたいにスカスカになります。
塗装と違い何回も再クロームはお勧めいたしません。
クローム丸ごと剥離でエアー漏れは一応これで解決しました。
しかしインナーリム側の腐食が特に激しかったためクローム剥離後、陥没、月面クレーターの凸凹が現われて来ました。
表デザイン面も腐食が進行中のためクローム剥離により表面も凸凹状態でしたので荒研磨して、念のためバレル研磨にかけてみました。
凸凹陥没を埋めるために塗装膜が硬くて厚いパウダー塗装をやや厚めに噴射して一旦肌合わせをします。写真では見えにくいですが、それでもまだ陥没凸凹は多少残っています。
デザイン面はビジュアル重視にため、細かい陥没はパテ埋め、サフ下地して
溶剤ウレタンカラー(スプレー塗装)でのシルバーメタ仕上げとなりました。
腐食損傷の酷かったインナー部の凸凹陥没は表ほどの肌合わせは無しとなります。
※ここまで痛んだインナー部までのツル肌仕上げは手間と時間のコストを考えると表面の数倍かかります。
クロームメッキ剥離からのカラー塗装までは長い長い道のり作業となります。
1・クローム剥離工場へ依頼して20日以上かかりました。
2・クローム剥離後のアルミ素地の月面クレーター(ブラマヨ吉田さんみたいな)肌にビックリ、ガッカリして荒研磨となります。
3・肌の陥没凸凹を埋めるためと、素地への密着性向上も兼ねて粉体パウダー塗装で大まかに埋め込みます。
4・パウダー塗装サイディング後、まだ目立つ陥没部はアルミパテにて補修
5・ウレタンカラー塗装用の下塗装となるサフ塗装
6・サフ塗装して、サイディングしたらまだ陥没が多少見えてきます。
7・もう一度パテ埋め微補修して再度サフ塗装 です。
8・サフをサイディングしてやっとメインのシルバーメタ塗装です。
9・仕上げにクリアー塗装して完成となります。
クロームメッキから多種カラー塗装への塗り替えはクローム層を剥いだ方が塗装剥がれの心配も無く耐久性は格段に向上しますので、クローム剥離をお勧めいたしますが、クローム剥離代や剥いだ後の下処理に手間と時間がかかりその分料金と納期もそれなりにかかってしまいます。
いずれにせよ、クロームホイールは修理も再クロームも別カラー塗装もすべて一番コストの掛かる面倒で厄介なリフレッシュ・リメークとなります。
※クロームの腐食、メクレのない程度の良いクロームは直にパウダー塗装で対処出来ますので、低コストでカラー塗りが可能となります。
クロームメッキの修正/再クロームについてはこちら
(有)オートサービス西 HPはこちら
- カテゴリー:
- クロームメッキから別加工